経営パワーの危機

三枝匡氏の3部作の2番目の書.
優秀な経営者(リーダー)になるための成長プロセスを描いています.

親会社の社長財津によって将来の経営者候補の主人公伊達(36才)が,
鍛えられている様子がメインのストーリーです.

経営者育成プログラムとして,伊達は子会社の赤字ベンチャー企業の社長に赴任し,
赤字からの再生,高成長企業のトップの道を歩んでいきます.

主人公は伊達ですが,財津社長は必要に応じて不要なものを切り捨て,自らの過ちを認め,
成功に酔い暴走した部下を叱りつけています.

特に,自らの過ちを認め,謙虚に周囲の言葉(諫言)を受け入れることが
出来るトップには魅力を感じます.


以下,経営ノートより重要と思ったことの抜粋

商売の基本サイクル
開発(創って)->生産(作って)->営業(売る)
が一揃いになった組織の権利と責任を同時に与え,その長にならないと,
経営者のトータルバランスが得られない.

1980年代の日本企業の隆盛とアメリカの没落,1990年代の日本企業の没落とアメリカの隆盛は,
日本企業の経営陣がトップダウンでの短期利益指向にならなかったことが原因.


改革は,全体の商売の基本サイクルを早く回すために行うが,
実際にトップがテコ入れをするのは,そのうちの一部.
一部を改良すれば,遅れて他の部門も改善される.
平均して全体にテコ入れをしようとするとかえってうまくいかない.